タンパク質 ‐本当はどんなもの?

タンパク質は、犬にとってとても重要です。犬だけでなく、実際は全ての生き物にとって非常に重要なものです。多くの人は、タンパク質が重要だということを当たり前に思っていますが、私はあえて考えてみたいと思います。なぜタンパク質が重要なのか?

タンパク質は「月」の好きな食べものでもあります

この問題の答えを出すには、少し細胞について化学的な話に戻らなければなりません。私達の体の各細胞では、一秒間に何千もの化学反応が起きています。こうした反応のほとんどは、そのままにしておいて起きるものではありません。 例えば、砂糖は細胞の中でエネルギーに変わります。ただそのためにはたくさんの化学変化が起きなくてはなりません。例えばもし砂糖を水の中に入れておいても何も起きないでしょう。化学反応が起きるには、触媒が必要なのです。

触媒は、化学反応を促進する何かであり、それ自体は変化しないもの、と定義できるでしょう。合成化学においては、反応を遂行するために化学物質を利用します。時には金属を使うことさえあります。細胞は触媒に何を使っているでしょう?酵素を使っているのです。

あなたの細胞の反応はすべて、それ特有の酵素によって起きます。酵素には異なるタイプがあり、それぞれの細胞は何百万もの酵素を持っています。酵素はそれぞれ、自らが触媒として働く化合物だけに効力を持つ、非常に特定の形を持っています。酵素ははっきりしたアミノ酸の配列を持っているため、特定の形を持ちます。何百何千のアミノ酸はそれぞれ、独特の形を得る特定の方法を持っています。

ヘキソキナーゼ酵素は、糖分をエネルギーに変える酵素のうちのひとつ。他の酵素と同じように、アミノ酸でできている。

 

しかし酵素は意外にもろいもので、細胞の外ではかなり簡単に分解されます。酵素が分解されるとき、特定の形が開いてしまい、もう(触媒として)働くことができなくなります。これがつまり、タンパク質なのです(触媒として働くことができない酵素=タンパク質)。私はよくタンパク質と酵素という単語を区別せずに使っていますが、実際には、全てのタンパク質は、機能しているか分解されたか、どちらかの酵素なのです。

(犬が外から摂取する)タンパク質は、体内で新しい酵素を作るのに必要となるアミノ酸を含んでいるので、重要なのです。消化過程の間、タンパク質はアミノ酸に分解され、赤血球とリンパ漿によって体に再分配されます。一旦内部に入るとアミノ酸は犬の細胞が必要とするタンパク質を作り出すために再構成されます。

このように、タンパク質が重要なのは、アミノ酸を含んでいるためです。そしてさらに、アミノ酸は犬の細胞によって、さらにタンパク質を作るために再構成されます。

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なぜたまねぎが犬にとってダメなのでしょうか? パート2

なぜたまねぎが犬にとってダメなのでしょうか? パート2

前回、たまねぎが犬によくないということを書きました。

たまねぎはハインツ小体性貧血を起こし、犬の体内の血量を減少させ、犬は動きが悪くなる。もし彼らが十分な量のたまねぎを食べたら(しかしかなりの量です)、彼らは命を落とすでしょう。

それではハインツ小体性貧血とは何なのでしょうか?そもそもハインツ小体性貧血とは何か、ここから検証を始めてみましょう。ハインツ小体性とは、赤血球中にできる塊です。だからたまねぎは血液細胞にその塊を作ってしまいます。この塊はとても大きく、顕微鏡で見ることができます。ハインツ小体性のできた赤血球は破裂しやすくなり、破壊した後の赤血球は脾臓によって濾過されます。

それではたまねぎに入っている何が、犬によくないのでしょうか?2つの予想される原因があり、最も重要なものは、チオ硫酸塩ナトリウムです。

しかし私達はチオ硫酸塩ナトリウムがどのような働きをするか理解するために、少し話を戻す必要があります。

哺乳類の血液細胞には、ヘモグロビンと呼ばれるたんぱく質で満たされています。

ヘモグロビンの中には、鉄分子が納まる場所がいくつかあります。鉄分子は酸素と結合したり、必要なときにはその酸素を放出しています。酸素はこうして運ばれます。

 

しかしながら、チオ硫酸塩ナトリウムは、ヘモグロビンの鉄と結合し、酸素とは結合しない「メトヘモグロビン」を作り出してしまいます。

さらに、たんぱく質を変性させ破壊し、そのたんぱく質が血液細胞膜に沈殿してしまいます。

この結果、沈殿物は血液細胞膜に付着し、ハインツ小体になってしまうのです。

 

これがハインツ小体ができる理由であり、犬にとってたまねぎがよくない理由です。

そうは言うものの、ここでは説明できませんが、他にも原因となっている化学合成物やメカニズムがあります。

 

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なぜたまねぎを犬にあげてはいけないのでしょうか?

私は、自分の犬、「月」に手作りのご飯を作り始めたとき、犬にあげてもいいものかどうか、食べ物についてそのたびに調べていました。よく危険だと言われている食べ物のひとつに、たまねぎがあります。

私は初め、一般に言われることが正しいと当然のように考えていて、単純にたまねぎを除いたご飯を準備していました。しかし、結局、たまねぎについてもさらに詳しく調べてみました。すると、たまねぎはやはり犬に絶対にあげてはいけない、ということが科学的にわかりました。犬だけでなく猫にとっても、本当に悪いのです。実際に、犬、猫、馬、羊、そして猿というどうぶつは、たまねぎを食べると具合が悪くなります。すると、人間は何が特別なのでしょうか?

 

犬がたまねぎを食べたとき、何が起きるか?彼らは食べた直後は元気に見えるでしょう。しかし次の日彼らは元気がなくなり、ひょっとしたら起きないかもしれません。彼らの尿は赤みがかっていて、臭いがするでしょうね。…たまねぎの。もしあなたの犬が一定量のたまねぎを食べてしまったら、深刻な病気になる可能性だってあるのです。どれくらいが十分な量なのでしょうか?すごくたくさん、です。

 

私が読んだ研究論文のひとつに、たまねぎの影響を調べるために、研究者が犬にたまねぎを与えた実験がありました(ひどい実験です!)。このたまねぎの研究では、犬は2日間たまねぎだけを食べ続けました。しかし、実験中の犬は、死ぬことはありませんでした。だから、あなたの犬がたまねぎを大量に食べない限り病気、つまり命を脅かす病気にはならないでしょう。でも、仮に頻繁にたまねぎをあげたとしたら、犬の体の中にある赤血球の数が減るという影響が出るでしょう。

 

赤血球は、血の中にあって肺からその他の細胞に酸素を運ぶ主な細胞です。ほとんどの哺乳類の赤血球細胞は、後から書く少しの違いを除いては、似ています。たまねぎは、ハインツ小体性貧血と呼ばれる病気を引き起こします。これは犬の体内の赤血球数を減らし、酸素を取り込む細胞を作ることをより難しくしてしまうという病気です。あなたの犬は、動きを止め、呼吸も速くなるでしょう。血流の中の酸素を一生懸命取り込もうとしているのです。しかし、もし酸素を取り込む働きをする血液細胞が十分にない場合、どんなに頑張って呼吸をしても、犬は危険な状態に陥ってしまいます。もしあなたの犬がたくさんのたまねぎを食べてしまい、起きられなくなってしまったら、あなたは獣医のところに行くべきです。彼女は輸血が必要かもしれません。しかし、そうすれば、そのあとは全く問題がなく元気になるはずです。

 

幸運なことに、この病気は2,3日で治癒し、影響は続かないことです。犬は絶え間なく血液細胞を再び満たしていて、そのスピードは人間よりも速いのです。そして減少していた血は2,3日のうちに戻り、あなたの犬はすっかり良くなるでしょう。

 

しかし問題はまだまだあります。正確にはハインツ小体とは何なのでしょうか?なぜ貧血が起きるのでしょうか?なぜ犬が影響を受けるのでしょうか?そしてたまねぎの何がそれ引き起こすのでしょうか?来週、あなたに答えを報告しましょう!

 

*ハインツ小体性貧血

犬に引き起こる病気で主にたまねぎが原因となっている。接取して数日後に起こるので分かりにくい。食欲不振や脱力、赤みのかかった尿が出る。

*ハインツ小体

酸化障害によるヘモグロビンの酸化変性物の集塊。

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にんにくのパワー

前回は、たまねぎに焦点を置いて調べてみました (あるところで、私のニンニク好きについて質問があったので、日本語版では先にニンニクの話を載せます、たまねぎは次回)。今度は、たまねぎの遠い血縁であるにんにくについて話します。遠い血縁と言いましたが、この二つは分類学的に非常に似ています。しかし似ているのに、なぜたまねぎは悪くてにんにくはよいのでしょうか。実は、誰もはっきりとわからないのではないでしょうか?この二つは互いに要素が似ていますが、にんにくには、ハインツ小体性貧血を起こす要素がたまねぎに比べてずっと少ないのです。

 

だから、にんにくは犬にあげて悪くはない。しかし果たして、犬の食材として「いい」食
べ物でしょうか?にんにくには多くのすばらしい点があります。にんにくは、卓越した自
然の抗生物質、抗ウイルスであり、ノミや寄生虫対処としてもすばらしく、おまけにビタ
ミンとミネラルを豊富に含んでいます。

しかしにんにくは本当にこれらの素晴らしい性質を持っているのでしょうか?

にんにくは、他の食べ物よりも特定の硫黄化合物の含有量が高いのですが、メインとなる
働きの化合物は、アリシンと呼ばれるものです。



アリシンはそれだけで見た時、生のにんにくに含まれる抗細菌を、莫大な量持っているこ
とが証明されています。しかしながら、謎は深まるばかりです。なぜならアリシン=実際
にんにくのかけら、というわけではないからです。

 

にんにくの中の化合物は、アリインと呼ばれています。名前がよく似ています。

だからこれは興味深いものなのです。にんにくを潰したとき、アリイナーゼと呼ばれる、
にんにく中の酵素が、アリインをアリシンに変えます。つまり、にんにく中に含まれる、
(犬の健康にとって)最も大切な化合物のひとつは、実際にはにんにくの中に存在してい
ないのです。

 

科学研究論文の中にこれを証明する研究を見つけることができませんでしたが、わたしは
密かに仮説を立てています:にんにくを潰した後、2~3分間寝かせておくと、にんにくは
より強い抗生物質になるのではないか?アリイナーゼ酵素が、抗生物質としての効果のあ
るアリシンをよりたくさん生産させるのではないでしょうか。もちろん、ただの仮設です
が、もっともな仮説のような気がします。(*実際、犬のホリスティックケアについて書
かれた本には、にんにくを寝かせておくというアドバイスが出ていました。)

このように、にんにくはたくさん、たくさん、たくさん良い効果があって、それぞれ、お
そらくは化学成分の働きです。
ですからいつかまた、にんにくの不思議についてここで書くことがあると思います!
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はじめに

こんにちは、そしてようこそこのブログへ!

2009年の夏、日本。

とある小さな島の道端で、小さな子犬が生まれました。

それが私の犬、「月」です。

私の妻が彼女を家族として迎え、私たちは彼女に「月」という名前をつけました。

妻は犬には新鮮な食べ物を作ってあげることがいいと考えていたため、二人とも犬にとってどんな食べ物がよいか、どんな食べ物が悪いのか、興味を持つようになりました。ただ私は、もっとそれを深く掘り下げて考えたいと思うのです。

私の犬:月ちゃん

私は生物化学と分子生物学の学位を持っていて、アメリカカリフォルニア州にある製薬会社で6年以上、医薬品を開発する化学者として働いていたことがあります。そういう経験もありますが、それ以上に個人的に、犬についての一般的な知識の裏にある科学的根拠について、ものすごく興味があるのです。たとえば、犬にとってたまねぎは悪いと聞いたことがありますが、それはなぜでしょう?チョコレートは何が悪いのでしょうか?どうしてニンニクは良いのでしょうか?

伝統的な(西洋の)薬には、それが必要とされる場所があると思います。ただ私は、人間や犬の病気の多くは、「自然な」方法で予防できるし、治療できる場合もあると確信しています。科学はやっと、人間が古来から使用していた自然治癒の方法を解明できるようになってきたのです。何世紀にもわたって使われている自然の治療薬や方法が、最近科学的に解明されてくるようになりました。現代は自然界に興味のある科学者にとって興味深い時代であり、私はこれについてみなさんと一緒に調べてみたいと思うのです。

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